「ウェルスナビ」か「つみたてNISA」のどちらかで資産運用を始めようとお考えか、もしくはウェルスナビでNISA制度を利用できないかとお探しかとおもいます。
まず始めに理解していただく点はウェルスナビではNISAの制度を利用した資産運用は出来ません。
しかしウェルスナビの目指している資産運用の考え方と、つみたてNISAの考え方は、非常に似ています。
それはどちらも「長期」「分散」「積立」が基本になっています。
今回は「ウェルスナビ」と「つみたてNISA」について、投資先、手数料、税金、運用金額、運用期間、この5つのポイントに絞って比較をしていきたいと思います。
ウェルスナビとつみたてNISA、投資先の比較
まず初めに何に投資をするのか、ウェルスナビとつみたてNISAの比較をしたいと思います。
ウェルスナビの投資先
ウェルスナビの投資先は7つの「海外ETF」です。
ETFは日本語では「上場投資信託」と呼ばれています。
この特長は「インデックス型の投資信託」と同じで、日経平均株価やS&P500(米国の代表的な500銘柄の株価を基にした株価指数)など、特定の指標と連動した運用成績を目指す「投資信託」となっています。
インデックスとの違いは、ETFの場合、リアルタイムで変動する市場価格で取引が可能な点です。
ウェルスナビが扱っている7つの海外ETFの種類はこちらです。
分類 | 資産クラス | 特徴 |
株式 | 米国株 | アメリカの代表する企業に投資ができる |
日欧株 | 日本含めたEUの企業に投資ができる | |
新興国株 | 先進国よりも成長スピードの早い国の企業に投資ができる | |
債券 | 米国国債 | 資産価値の価値の安定性と、高い分散効果が期待できる |
物価連動債 | 資産価値の安定と分散、またインフレへの対応も期待できる | |
オルタナティブ | 金(コモディティ) | 分散投資に加え、インフレへの対応も期待できる |
不動産 | 実物資産であり、インフレへの対応も期待できる |
ウェルスナビでは、最初に行う「リスク許容度診断」によって、あなたが選んだリスクに合わせて、これら7つの投資先を組み合わせて提案してくれます。
またウェルスナビは米ドル建ての投資となります。
リスク許容度診断を試したい方はコチラから「ウェルスナビ」
つみたてNISAの投資先
つみたてNISAの投資先は、金融庁が基準を設けておりその数は142本(2018年10月31日現在)です。
つみたてNISAの対象商品は、手数料が低水準、頻繁に分配金が支払われないなど、長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されており、投資初心者をはじめ幅広い年代の方にとって利用しやすい仕組みとなっています。
※公募株式投資信託とは、金融機関だけではなく、私たち個人でも購入できる「投資信託」の事です。
投資信託の数は約6000本程度ありますが、このように国が投資先を絞って142本にしてくれているので、通常の投資を始めるよりも、商品を選びやすく、インターネットで調べていけば、更にある程度の数までに絞ることはできます。
但し、投資先を決めるのはあなたのなので、時間と知識が必要になります。
ウェルスナビ、つみたてNISAの投資先の比較まとめ
ウェルスナビはあなたが投資先を決めるのではなく、ロボットアドバイザーがあなたのリスク許容度に合わせた投資先を決めてくれます。
一方、つみたてNISAは、ある程度投資先の数は絞られてはいるが、その中からあなた自身が投資先を選ばなくてはいけません。
ウェルスナビは資産運用に関す知識がなくても始められる、つみたてNISAはある程度の知識は必要となります。
ウェルスナビとつみたてNISA、手数料の比較
ウェルスナビとつみたてNISAにかかる手数料の比較をしていきます。
ウェルスナビの手数料
ウェルスナビの手数料は1%(税別)、内訳はこちらのようになっています。
手数料 | 預かり資産3000万円まで | 年率1%(税別) |
3000万円をこえる分部 | 年率0.5%(税別) | |
入金 | クイック入金 | 無料 |
自動積立 | 無料 | |
金融機関振込 | 無料 | |
出金 | 出金手数料 | お客様負担 |
取引 | 売買手数料 | 無料 |
為替手数料 | 無料 | |
為替スプレッド | 無料 | |
リバランス | 無料 | |
口座開設 | 無料 |
引用:ウェルスナビ株式会社 「よくある質問(手数料)」より
またウェルスナビは海外ETFで資産運用をしており、その際に信託報酬が控除されています。
WealthNaviでは、ETF(上場投資信託)を通じて、国際分散投資を行っています。ETFの運用会社は、ETFの適切な維持・管理を行うための経費をETFの中で控除しており、お客様はこれを間接的に負担していることになります。
その信託報酬はリスク許容度によって変わります。
リスク許容度1 | 0.14% |
リスク許容度2 | 0.11% |
リスク許容度3 | 0.10% |
リスク許容度4 | 0.11% |
リスク許容度5 | 0.11% |
ウェルスナビの手数料は、1%以外に信託報酬が別途0.11%~0.14%かかるので、実質的な手数料は、1.11%~1.14%となります。
ただウェルスナビには資産運用の期間と金額が一定を越えた場合に、手数料の割引を受ける事が出来ます。
長期割引判定額(6ヶ月毎) | 手数料の割引幅 |
50万円~200万円 | 0.01%(年率) |
200万円以上 | 0.02%(年率) |
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つみたてNISAの手数料
つみたてNISAの投資先は投資信託とETFです。
信託報酬はウェルスナビ同様に掛かりますが1%未満のものがほとんどです。
また購入・売却手数料のかからない「ノーロード」と呼ばれる金融商品がほとんどで、ウェルスナビと比較したら手数料は安く抑えることができます。
金融庁が定めている手数料の基準はこちらのようになります。
信託報酬に関して
- 国内資産のみに投資するインデックス投信 0.50%
- 海外資産を組み入れているインデックス投信 0.75%
- 国内資産のみに投資するアクティブ運用投信 1.00%
- 海外資産を組み入れているアクティブ運用投信 1.50%
販売手数料、解約手数料に関して
NISA の販売手数料に関しては、ノーロードに限るべきである(※ETFを除く)。
なお、解約手数料(信託財産留保額を除く)に関しても、0%のものに限るべきである。ETFに関しては、販売会社が受け取る収益は販売時の売買手数料に限られているため、制度設計上、ノーロードとすることは困難であり、別途検討が必要と考えられる。その際、信託報酬及び売買手数料の水準に一定の上限を設けた上で、対象とすることが適当と考えられる。
このように長期で資産運用に取り組む場合の手数料については、出来るだけ少なくすることが前提でつみたてNISAの設計がされています。
ウェルスナビ、つみたてNISAの手数料の比較まとめ
どちらも投資の考え方は同じで「長期」で資産運用をしていく事を前提としています。
なぜなら手数料の比重は長期になればなるほど、大きくなっていくからです。
仮に2%しか運用利益が出なかった場合、ウェルスナビであればそこから1%が引かれてしまい利益は1%となります。。
つみたてNISAであれば、国内資産のインデックスのみで運用していれば、0.5%が上限となるので、最低でも1.5%が利益として残ります。
この0.5%が何十年と積み重なると大きな金額になります。
例えば、年間100万円の利益だったら、手数料の1%は1万円です。
これが20年続いたとしたら、20万円も手数料で取られることになります。
このようにウェルスナビとつみたてNISAであれば、全体的な手数料としてはつみたてNISAの方が優っていることが分ります。
ウェルスナビとつみたてNISA、税金の比較
ウェルスナビとつみたてNISAに関する税金、また確定申告についても比較していきたいと思います。
ウェルスナビの税金
ウェルスナビは他の資産運用と同じように、運用利益に対して約20%の税金がかかります。
その税金は毎年確定申告をして、納める必要があります。
ただしウェルスナビで資産運用をする場合、3種類の口座を選ぶ事ができ
- 特定口座(源泉徴収あり)
- 特定口座(源泉徴収なし)
- 一般口座
「特定口座(源泉徴収あり)」を選択すれば、税金はウェルスナビがあなたに代わって源泉してくれるので、あなたは確定申告をする必要はありません。
他の2つを選んだ場合は、確定申告の必要があります。
ただウェルスナビの場合は、DeTAX(デタックス)という、税金を自動に最適化してくれる機能があります。
分配金の受け取りやリバランスなどによって生じる税負担の一部または全部を、保有銘柄の「含み損」を実現して「利益」を相殺することにより、税負担を翌年以降に繰り延べる機能です。
具体的には、ポートフォリオの中に含み損がある銘柄があれば、店頭取引により、その銘柄を一旦売却(含み損を実現させる)し、それと同時に「同じ銘柄を、同じ数量、同じ価格」で買い戻します。
これにより、ポートフォリオの構成を維持したまま、その年の税負担の軽減を計ります。
例えば、ある銘柄を100円で10口購入しましたが、その後に価格が70円まで下がってしまいました。
30円(値下がり分)×10口=300円(含み損)
これが含み損の状態で、まだこの銘柄を売却したわけでは無いので、損失は確定していません。
ウェルスナビでは、こうした「含み損」があり、更には別の銘柄で「利益」があがる事が予想される場合に「DeTAX(デタックス)」という機能が働き、「含み損」の状態にある銘柄を売却し「損失」を確定させて、利益と損失を相殺してくれます。
「DeTAX(デタックス)」がどのようなタイミングで働くのかは、ウェルスナビのAi機能が決めるので、詳しい仕組みは公表されてはいないのですが、このようにしてその年にかかる税金額を抑えてくれます。
またこの「DeTAX(デタックス)」について、ウェルスナビの柴山社長はこうコメントしています。
「DeTAX」(デタックス)の機能により年間0.4~0.6%程度の負担減となるため、事実上のコストはそれよりも少ないものになるでしょう。
引用:「WealthNavi for SBI証券」のウェルスナビ株式会社 柴山CEOへインタビュー
先ほど紹介したウェルスナビの手数料1.11%~1.14%を実質的には、0.71%~0.74%にすることが出来るとコメントしています。
この「DeTAX(デタックス)」によって、より効率的な資産運用が実現できます。
ウェルスナビの税金に関して詳しくはこちらもご覧ください。
つみたてNISAの税金
NISA制度は一定額までの投資金額によって得られる運用利益に関しては非課税です。
つみたてNISAであれば、資産運用を始めた年から最長20年間、年間40万円(毎月約3.3万円を積立)までの投資で得られる運用利益は非課税になっています。
運用利益に本来かかる約20%の税金がかかりません。
また口座は「特定口座(源泉徴収あり)」しか選ぶ事ができません。
ウェルスナビ、つみたてNISAの税金の比較まとめ
ウェルスナビの運用利益には約20%の税金がかかりますが、つみたてNISAには一定額の範囲であれば、税金はかかりません。
但しつみたてNISAの場合、もし他の金融機関、口座で資産運用をしている場合「損益通算」「繰越控除」など、税制的な優遇を受ける事ができません。
あなたの状況によって2つの優劣が異なる事になります。
ウェルスナビとつみたてNISA、運用金額の比較
ウェルスナビとつみたてNISAの運用金額について比較をしたいと思います。
ウェルスナビの運用金額
ウェルスナビの最低運用金額は10万円になります。
口座を開設後に最初に最低10万円を口座に入れなくてはいけません。
その後は毎月1万円ずつなど積立こともできますし、そのまま10万円だけを運用することもできます。
また積立をするのであれば、最低積立額は1万円からになり、上限はありません。
あなたが積立金額を決められるので、例えばボーナスなどの臨時収入が入った時に、いつもより多く資産運用に回すなど柔軟な運用ができます。
つみたてNISAの運用金額
つみたてNISAの最低運用金額は100円から、年間で40万円までになります。
最低投資額が低いので、投資へのハードルも一気に低くなります。
投資経験が少ない人にとっては、資産運用をやりながら色々と勉強していくには、入りやすい入口かもしれません。
但し、運用益が非課税であるというメリットが少額投資では薄れてしまします。
ウェルスナビ、つみたてNISAの運用金額の比較まとめ
ウェルスナビは積立もしくは通常に資産運用にするにしても、上限額がありません。
一方、つみたてNISAは年間40万円までと、上限額が設定されているので、ある程度のボリュームで資産運用を検討している方には、あまり好まれない傾向があります。
また逆に少ない投資額でつみたてNISAを始めても、運用利益に対する非課税というメリットが損なわれます。
ウェルスナビとつみたてNISA、投資期間の比較
ウェルスナビとつみたてNISAの投資期間について比較をしたいと思います。
ウェルスナビの投資期間
ウェルスナビで資産運用に投資期間の制限はありません。
あなたがやりたい間、ずっと資産運用をすることが出来ます。
これは「長期」で資産運用を考えている場合、非常に効果的だと考えられますが、ウェルスナビでは最低度も10年程度の投資期間を推奨しています。
つみたてNISAの投資期間
ここまで何度が出てきていますが、投資期間の制限はありませんが、非課税期間の制限があり、それは投資を始めた年から20年間です。
例えばあなたが30歳であれば、49歳には非課税期間が終わってしまいます。
※毎年の40万円までの投資に関しては非課税なので、49歳の時に投資した40万円は、69歳までは非課税扱いになります。
要するに20年間で合計800万円までの投資分に関して運用利益が出ても非課税となります。
もし非課税期間を過ぎた場合、通常の口座に移行して、その後に運用益が出た場合は約20%の税金がかかります。
ウェルスナビ、つみたてNISAの運用期間の比較まとめ
ウェルスナビ、つみたてNISAには運用期間の制限はありませんが、つみたてNISAには非課税期間が20年間という制限があります。
ウェルスナビとつみたてNISAを5項目で徹底比較!のまとめ
比較対象項目 | ウェルスナビ | つみたてNISA | まとめ |
投資先 | 7つの海外ETFの中から自動的に選ばれる | 142本の中からあなたが選択 | 投資初心者にはウェルスナビ |
手数料 | 実質1.11%~1.14% | 国内インデックスで0.5%以下 | 手数料はつみたてNISA |
税金 | DeTAXに軽減あり、損益通算、繰越控除も可能 | 20年、年間40万円まで非課税 | 非課税期間が魅力的なつみたてNISA、但しあなたの他の投資状況によってはウェルスナビ |
運用金額 | 最低投資額10万円、上限なし | 最低投資額100円、上限(非課税)40万円 | 投資額の上限が無いウェルスナビの方が柔軟な資産運用ができる |
運用期間 | 制限なし | 非課税期間が20年 | 20年以上の長期で資産運用をするなら、ウェルスナビ |
どちらについても「長期」「積立」「分散」することが基本となっているものです。
ただし非課税期間が20年、年間投資額が40万円と制限があるつみたてNISAの方が若干、柔軟性に欠けると思います。
ただ最低投資額が100円なので、試しでやってみたいという方にとっては良い制度かと思いますが、それではつみたてNISAの力(非課税)を最大限に引き出せないので、出来れば年間40万円いっぱいまで資産運用をしてもらいたいと思います。
ウェルスナビは全くの初心者でも完全にお任せで資産運用ができるので、こちらは投資初心者におすすめです。
また手数料の点では、つみたてNISAに負けていますが、つみたてNISAの場合、あなたがやらなくてはいけない事はたくさん(ポートフォリオ作成、リバランスなど)あり、そういった事が良く分からいのであれば、ウェルスナビに手数料を払っても安い金額だと思います。
またまずは10万円からウェルスナビで資産運用をして、その後に少しづつ資産運用について勉強していくという方法もあります。
私もそうでしたが、まずは行動に移すことで、初めてわかる事が多くあります。
是非、この機会に資産運用を始めて下さい。