日興インデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用)は、DC専用と表題にあるとおり、確定拠出年金専用の投資信託になります。
今回はこの日興インデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用)の商品概要、資産構成、類似商品とのコスト比較、また為替ヘッジの意味、海外債券の魅力などを詳しく解説していきたいと思います。
日興インデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用)の商品概要
日興インデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用)の投資先は海外債券が中心となります。
資産構成は、北米44.62%、欧州49.05%、中南米0.86%、アジア・オセアニア4.25%(2017年10月25日時点)となっており、北米、欧州の債券が中心となっています。
価格推移と他投資信託との比較
「日興-インデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用)」2002年12月に10,000円から設定されました。
2019年3月29日現在では基準価格は13,365円となっており約33%のプラスになっています。
年単位で見ると景気変動などの影響を受けるので上がったり下がったりを繰り返していますが17年間で見ると堅調な推移をしています。
比較対象として「ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国債券インデックスファンド」という外国債券に投資している投資信託を見てみたいと思います。
投資対象は北米48.2%、欧州41%とほぼ同じような資産構成となっています。
異なる点は為替のヘッジを行わない事です。
為替ヘッジについては後ほど説明します。
次に運用実績はどうでしょうか
2019年3月29日で11,144 円で、利回りは設定来から見て11%程度になります。
為替ヘッジありの日興の方が大きな利回りを上げています。
為替の影響を受けないようにするということが、いかに大切かということが分かるかと思います。
ただし為替ヘッジを行うことが必ずしもリターンに結びつくかというとそうではありません。
為替の影響を抑えるということは円安になって為替の利益が出るような場面であったとしても、利益を相殺してしまうからです。
この場合、為替ヘッジを行っていないほうが債券の利回りと、為替差益の両方の恩恵を受けられます。
しかし、iDeCoという長い目で見る必要がある商品については、なるべく変動を抑える必要があるという考えが主でしょう。
手数料について
手数料も比較したいと思います。
「日興-インデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用)」の購入手数料は無料のノーロードになります。
運用時に発生する信託報酬は年間0.2808%です。
「ニッセイ外国債券インデックスファンド」もノーロードで、信託報酬は年間0.1836%です。
どちらも信託財産留保額(売却時にかかる手数料)はないので費用だけで考えれば、「ニッセイ外国債券インデックスファンド」のほうが約0.1%も有利に思えるかもしれません
しかし為替ヘッジを行うということは、それだけ費用がかかる行為になるので、一概に「日興-インデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用)」を下に見る理由にはなりません。
むしろ費用がかかっても、それだけリスクを抑えることができ、利回りがどうか?ということに目を向ける必要があるのではないでしょうか。
ではその為替ヘッジについて詳しく見ていきましょう。
為替ヘッジとは?
基本的には買う為替に対して売建(うりたて)を行い影響を相殺します。
具体的には外国債券を買うには、外貨を買った上で債券を購入することになります。
米ドルの債券を例に取ります。
100ドル分の米ドル債を買うのに日本円では買えないので、手元に米ドルで100ドル必要となります。
すると米ドル債への投資をする前に、100ドル分の米ドルを買う必要があります。
仮に米ドルが1ドル=100円の場合、100ドル購入するには10,000円必要です。
その後に円高となり1ドル=90円になると、債券の単価はそのまま円にすると100ドル×90円で9,000円になってしまいます。
100ドル×100円の為替で10,000円の投資を行いましたが、1,000円の損失が出てしまいました。
こうした為替の影響を防ぐために為替ヘッジがあります。
100ドルの外国債券を買う時に、同時に100ドル売建(うりたて)ます。
売建とは100ドルを借りている(もしくは為替予約)のようなイメージです。
その時のレートが1ドル=100円、このレートが固定されます。
もちろん借りているので返す必要があります。
先ほどの為替ヘッジの無しの場合、為替が円高になった場合には、1,000円のマイナスがありましたが、為替ヘッジをしていれば、1ドル=100円のままとなります。
債券の日本円に対する額面上が9,000円であっても、10,000円で売却することができます。
本来1,000円の損失が出てしまうのに、購入時と同額の元本が返ってきます。
そうすることで海外債券に投資する際に発生するリスクの一つである為替変動リスクをできるだけ抑えることができる商品になります。
しかし先ほども説明しまいたが、為替ヘッジによって為替の影響を抑えるということは、円安になって為替の利益が出るような場面であったとしても、利益を相殺してしまいます。
この場合、為替ヘッジを行っていないほうが債券の利回りと、為替差益の両方の恩恵を受けられます。
また為替ヘッジ無しの方が、先ほど紹介したように手数料を安く抑えることが出来ます。
続いて、海外債券について紹介していますが、日本の国債とも比較をしたいと思います。
海外債券の魅力とは?
このような海外債券には日本国内債券にはない魅力があります。
そのひとつが金利になります。
債券は国や会社が資金を調達するために発行するものです。
この債券ですが日本国内の債券はとにかく金利が低くなっています。
それは国内の政策金利の影響が響いているからです。
日本国内にいるとあまり感じられないかもしれませんが日本は、島国という土地柄と治安の良さから経済についても世界の中で堅調に推移している数少ない国なのです。
少子高齢化や企業の人材不足ということもあるかもしれませんがそれらを加味したとしても圧倒的に円の価値は高いのです。
そして現在、日本経済を活況にするべく企業の設備投資や個人消費を高めようと国は大きく舵取りを始めました。
それがマイナス金利です。
企業が設備投資をするときには借金が必要になります。
その借金をする際の金利が低ければ、より多くの設備投資をすることで経済が活況になるのを狙っているのです。
もう一つの経済への刺激策については個人が行う消費があります。
消費の中で最も大きいものは住宅投資、一般にマイホームと呼ばれるものになります。
マイホームの購入を勧めるために住宅ローンを低めに設定できるようにしているのです。
このように現在の日本では銀行預金も限りなく0に近い金利で運用されているのが実情です。
では外国の債券はどうなのかというと海外市場は資金を集めることに貪欲であり、なるべく高い利率を設定しています。
そもそも新興国などは、経済情勢も不安定でデフォルトリスクがあるので、それ相応の利回りがないと資金が集まらないということもあります。
海外債券に投資する際のリスク
海外債権に投資する際に発生する主なリスクの中で為替変動リスクがあります。
世界的に見て日本の円はとても強いです。
よって、他の先進国であったとしてもなんらかの政情不安により大きく自国の通貨が円に対して価値が下がることがあります。
また新興国であればインフレが続くので物価が上がり、相対的に通貨価値が下がります。
そうすると日本円は、円高と呼ばれる現象になります。
この際、外貨を日本円にするとおおきく目減りすることがあるのです。
その点、日興-インデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用)は為替ヘッジありとなっています。
ヘッジは為替に対して行う為替の変動を抑える措置になります。
次に債券の価格について、解説していきます。
これは少し理解しにくいので、かなりかみ砕いて書いています。
債券の時価単価とは?
債券にも価格の他に時価単価というものが存在します。
債券の価格は基本的に、額面100円で発行されます。
そしてその債権を途中で売却する場合、100円の債券でいくらの利益があるのかという点が価格に加味されます。
例えば年利10%の債券であれば、100円で10円の利益が得られるので、110円で売却することが出来ます。
今回は分かりやすいように年利10%としましたが、現在日本で発売されている国債は満期5年の固定金利の場合0.05%と、世界でも最低水準の利回りの低さを誇っています。
次に債券と株式の違いについても解説します。
債券と株式の違い
債券と似たようなもので株があります。
株は企業が資金を調達するために発行しますが、その場合は株の発行によって集めた資金を返す必要がありません。
しかし、デメリットもあります。
株とは、企業そのものになります。
つまり身売りをしてお金を集めていることになるのです。
そして、株の発行をする際にその株を購入した人や団体を株主といいます。
株主にはその会社の配当や今後の方針について口を出す権利を持っています。
つまり株主を増やすということは、それだけその会社の方針が株主によって左右される恐れがあります。
会社自体が乗っ取られてしまうという危険性をはらんでいるのです。
一方で債券は、お金を出してくれた人や団体に対してその資金を返す義務があります。
考え方としては企業や国が借金をしてお金を貸してくれた人に借用書を渡します。
その借用書が債券になります。
貸した権利である債権を券面にしたものとして債券が発行されます。
そして、借金には利息が発生します。
それが債券に発生する利金になります。
債券の利金は年に1回または2回支払われます。
中にはもっと多い債券もあるかもしれませんが、1年間に支払われる利息の金額に変動はありません。
例えば年利10%の債券があったとします。
100万額面分購入すれば税引き前で年間10万円受け取れます。
年に2回になったとしても5万円づつ2回にわたって払われるだけで年間10万円という金額に変動はありません。
まとめ:iDeCoの日興インデックスファンド海外債券、為替ヘッジの意味や手数料を比較
iDeCoの運用として海外債券を組み入れるのは良い考え方だと思います。
日本の国債や社債はとても安全ですが、だからほとんど利益も上がらず利率も低いままです。
正直、銀行預金とあまり変わりません。
将来少しでも多く受け取りたいと思うのであれば、多少のリスクもあえて受け入れる覚悟が必要です。
しかし為替リスクを抑えて資産運用を考えるのであれば「日興-インデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用)」はおすすめです。
また出来れば債券だけでなく、株式も国内、海外に分散して、一緒に運用することで、よりリスクの分散をすることもできます。
もしこれから資産運用を始めるのであればネット証券がおすすめです。
私がおすすめするネット証券はSBI証券です。
私もSBI証券でiDeCo口座を持っているのですが、SBI証券も楽天証券 も手数料に差はなく、どちらも業界最安値を競い合ってます。
それでも私がSBI証券をおすすめする理由は、メールや電話での問い合わせに対して一番対応が良かったからです。
これから長く付き合う証券会社なので、こうした点は非常に重要です。
※本商品は2019年4月30日までの購入分までがiDeCoでの資産運用の対象となり、5月1日以降の購入分に関しては、今後iDeCoでの商品として除外が決定した時点で現金化されてしまいます。