定年退職後のお金を準備するために、色々な資産運用を比較しているかと思います。
そこでここでは、貯蓄機能がある生命保険の「円建て」と「外貨建て」を比較したいと思います。
またそれぞれの特徴やメリット・デメリットを詳しく解説してあなたに合った保険を見つけられるお手伝いが出来ればと思います。
円建て、外貨(ドルなど)建てとの違いを比較
まず初めに円建て終身保険と、外貨建て保険のメリット・デメリットをまとめた以下の表をご覧ください。
ご覧のように、一口に円建て・外貨建てと言っても、予定利率や為替変動、物価変動など、様々な要素があるので、あなたに合うものに加入する必要があります。
生命保険で資産運用をする目的は何か
保険を使った資産運用の目的は、多くの場合が老後資金です。
多くの方は60~70歳くらいでお仕事を引退し、老後の生活を始めるでしょう。
現役時代には挑戦できなかった趣味に挑戦したり、あこがれの地に旅行に行ったり、時間は十分にあります。
本来長生きは嬉しいことですが、何をするにもお金がかかります。
十分に時間があるのに、肝心のお金がなくなっては大変です。
保険を使って資産運用をする人は、効率よく老後資金を準備したい人に向いています。
まず目的を整理しよう!
これは老後資金だけではありませんが、お金を貯める目的を整理しましょう。
というのも、目的が不明確な貯蓄は、挫折する可能性が高いからです。
お金を貯める目的は、「いつ」「何のために」の2軸で決まります。
こうすることで、お金を貯めるための手段(=金融商品)が決まってきます。
短期のお金
短期のお金は、現在から2~3年の間に使うお金です。
短期のお金は、当面の生活費として用意するお金です。ポイントは「即応性」ですぐに使えることが重要です。ですから、主に銀行の普通預金で貯めていきます。
中期のお金
中期のお金は、3~7年くらいの間に使う予定のお金です。
中期のお金は、この間に予想される大きな出費に備えて用意します。例えば車の買い替えや、人によっては住宅の購入(頭金)などです。
中期のお金のポイントは「安全性」で、減らさないことが重要です。
なので、定期預金など「すぐに使えない」けれど「元本割れも起きにくい」金融商品を使うのがいいでしょう。
長期のお金
長期のお金は、今から10年以上使う予定のないお金です。
例えば老後の生活資金や、小さい子供がいるなら、子供の生活資金などが長期のお金です。
長期のお金は「いかにして殖やすか」を考えましょう。
したがってポイントは「収益性」です。
外貨預金、投資信託を含め、多少のリスクを取ってもリターンを意識することで、効率よくお金を殖やすことができるようになります。
お金を「いつ」「何に使うか」によって3種類に分けましたが、生命保険は長期のお金を殖やすのに向いています。
生命保険の中でも、資産運用効果の高いものを上手に使いましょう。
円建て生命保険を使った資産運用のメリット・デメリット
資産運用効果のある生命保険は「終身保険」「養老保険」「年金保険」の3種類です。
ここではこれらを代表して、終身保険を使って説明を進めていきますね。
≪設定≫30歳から65歳まで、毎月2万円ずつ積み立て、返戻率はいずれも65歳時点で約120%と仮定した場合のイメージです。
円建て終身保険を使うことのメリット
銀行よりも効率よくお金を殖やせる
現在、銀行預金の利率は普通預金が0.001%、定期預金が0.01%です。
この利率によれば、例えば普通預金に現金100万円を1年間預けても、1年後には10円しか殖えないのです。
一方で生命保険は、生保各社とも円建て商品で予定利率が0.25%前後です。
実際には保険料のすべてが運用に回るわけではありませんが、それでも銀行預金より効率よく殖えます。
現在ある円建て終身保険で、30歳の人が65歳まで保険料を預けたとすると、高ければ18~20%くらい殖えます。
100万円を預けておけば、118万円くらいになるイメージですね。
運用リスクは保険会社が負ってくれる
通常、資産運用は自己責任で、元本割れリスクは常に意識されます。
しかし生命保険は、契約した時点で「○○歳時点で解約返戻金が△△%殖えている」ことが約束されます。
保険会社の運用実績がマイナスであってもこれは変わりません。
保障がある
通常の銀行預金は、積み立ての途中で契約者が死亡すると、死亡時点までに積立てられたお金しか遺族に残せませんが、終身保険をはじめとした保険ならまとまった金額を遺族に残せます。
円建て終身保険を使うことのデメリット
短期・中期のお金にはできない
金融商品としての終身保険は、10~30年以上の運用期間を経て、お金を20%くらい殖やすという金融商品です。
短期間で解約すると、解約返戻金は全くないか、あってもごくわずかです。
契約前に「最後まで保険料を払い続けられる」保険料にすることが重要です。
投資信託ほどの収益性はない
運用リスクを保険会社が負うことと引換に、投資信託ほどの収益性はありません。
よりハイリターンを狙うのであれば、後述する外貨建て保険がおススメです。
物価変動に弱い場合がある
物価とは、お金とモノの交換価値です。
円の価値が小さくなってモノの価値が大きくなることをインフレ(缶コーヒーが1本130円→260円になるイメージ)、その逆をデフレと言います。
解約時に物価がインフレに振れると、契約時に設定した解約返戻金が実質目減りします。
極端な例ですが、65歳時点での解約返戻金を500万円と設定して契約しても、解約時に物価が2倍に高騰すると、解約時の500万円は契約時の250万円と同じくらいの価値です。
逆に、解約時にデフレに振れていれば実質的に少しお得ですね。
円建てだからと言って、実はノーリスクではないのです。
年金保険・養老保険でも資産運用は可能
終身保険以外にも、資産運用効果のある保険はあります。
代表例が年金保険と養老保険です。
≪設定≫30歳から65歳まで、毎月2万円ずつ積み立て、返戻率はいずれも65歳時点で約120%と仮定した場合のイメージです。
その機能とそれぞれ特徴を下の図表にまとめましたので、参考にしてください。
こんな変わり種保険もある
低解約返戻金型終身保険(変わり種レベル:低)
保険料払込期間中の解約返戻金を、通常の7割に抑えることで、保険料を安くすることができるタイプの終身保険。
保険料の払込が終わると解約返戻金が通常に戻ります。
長寿生存保険(変わり種レベル:高)
長寿を「リスク」と捉え、人生100年時代を意識した商品。年金保険に分類され、日本生命を筆頭に国内生保各社が商品を出しています。
主な特徴は「トンチン性」で、年金受取人が死亡したときに、年金受給権が遺族に引き継がれるというものです(*)。
(*)ここに言う年金受給権は、公的年金ではなく、保険加入に伴う年金受給権です。
外貨建て生命保険とは?
円建て保険を使っての資産運用についてお話してきましたが、次に「外貨建て保険」についてお話します。
外貨建て保険とは文字通り、保険料・死亡保険金・解約返戻金が全て外貨でやりとりされる保険です。
利用される主な通貨は米ドルと豪ドルで、稀にユーロやニュージーランドドルを扱う商品もあります。
外貨建て保険のメリットとデメリット
メリット:予定利率が高い
先述の通り、円建て終身保険の場合は予定利率0.25%くらいで、30年間かけて18~20%くらいお金を殖やします。
これでも銀行と比べて高効率ではあります。
しかし外貨建て保険は、一般的に予定利率が2~4%くらいに設定されるので、円建てよりさらに効率よくお金を殖やせます。
プランによっては、返戻率200%を狙うことも可能です。
メリット:物価変動に強い
一般的に物価と為替相場は連動するので、円建てのようにインフレ時に実質目減りすることはありません。
ただしデフレ時にお得ということもなくなります。
デメリット:為替変動のリスク
外貨建て保険は、保険料を納めるときは円を外貨に交換し、解約時には外貨を円に交換します。
つまり、その時点の為替相場によって保険料も解約返戻金も(死亡保険金も)変動します。
そして、保険料払込期間と解約時で、円安・円高のどちらが有利になるかが変わります。
為替リスクをチャンスに変える!
為替変動の影響を受ける以上、リスクはあります。
しかし過剰にリスクを恐れるのではなく、為替変動を上手に利用すると予想以上にお金を殖やせます。
では、どうすれば為替を味方につけられるのでしょうか。
保険料払込期間中
保険料を前納する
「前納」とは文字通り、保険料を前もって納めることです。
先ほどの表の通り、保険料払込期間中は円高に触れると保険料が安くなるので、円高に振れた時に先々の分まで前納すると、保険料総額を安く抑えられます(=解約返戻金の返戻率を高くできる)。
保険商品によって、全期前納しかできないものと一部前納ができるものがありますから、前納の利点を最大限享受したいなら、一部前納ができる商品を選びましょう。
解約時
解約予定期間に幅を持たせる
最も簡単な工夫は、解約時期に幅を持たせることです。
老後資金であれば、ピンポイントで「65歳時点で解約」ではなく「65~70歳の間で解約する」予定で資金計画を立てましょう。
為替相場がご自身の都合の良いタイミングで解約するだけですが、そのためにも、保険以外にも資金を用意することをおススメします。
年金支払型にする
一般的に解約返戻金は一時金として受け取りますが、特約で年金支払にもできます。
解約時は円安になるほどお得なので、為替相場が円安に傾いたときだけ一括で受け取ると、為替変動を味方にできます。
こちらも、部分一括で受け取れるものがありますから、そうした商品を選んでおけば為替変動により柔軟に対応できるでしょう。
逆に円高に傾いたら、ひとまず外貨で受け取っておいて、円安になってから金融機関で円に換金すると、円高のリスクを最小限に抑えられます(この場合は為替手数料がかかります)。
円建て、外貨建てでの生命保険の資産運用まとめ
ここまで生命保険を使った資産運用のメリット・デメリット、そして円建て保険と外貨建て
保険の特徴とメリット・デメリットをお伝えしてきました。
傾向としては高い返戻率と為替を味方につけられる、外貨建てが好まれる傾向があります。
それでも、どちらがいいか迷われる方は、以下の判断基準を参考にしてください。
○円建て終身に向いている人
▶ローリスク・ローリターンの資産運用を希望する人
▶保障としての機能も外せない人
○外貨建てに向いている人
▶ハイリスク・ハイリターンの資産運用を希望する人
▶保障としての保険はすでに持っていて、あとは資産運用だけという人
ここでお話したことが、皆さんの判断の一助になれば幸いですが、あなた一人だけで考えても難しい場合は、お近くのFPさんや保険ショップでまず相談してみましょう。
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