老後の2000万円問題を受けて、すぐにでも資産運用を始めようと考えている方も多くいるかと思います。
しかし仕事をしながら、また子供もいてこれから教育費もかかる中で資産運用を始めるのであれば、まずは始める前に守らなければいけないポイントが3つあります。
今回は資産運用をサラリーマンが始める時の3つの掟をご紹介したいと思います。
高額投資をしない
資産運用を始めると思わぬラッキーにあたり利益がでることがあります。
よくいわれるビギナーズラックと同じことなのですが、それが過信となってしまい持っている現金全額を資産運用という話題を聞くことがあります。
資産運用の種類には債権・株券・外国為替・不動産や、複合型の投資信託という商品があります。
これらの商品に投資をすれば全てリターンが得られるとは限りません。
資産運用はリスクとリターンのバランスを考えながら、投資をしていく事が基本です。
思わぬラッキーパンチで大きなリターンを得てしまうと、リスクの事が頭からはなれてしまい、何をしても儲ける事ができるような錯覚に陥る事があります。
生まれて初めての資産運用で思わぬ利益が出て、この基本のリスクが頭の中から消えてその代わりに、自分は投資の才能があるという思い込みが頭の中に刷り込まれてしまいます。
例えばハイリスクな商品で言えば、株式やFX(為替取引)などが挙げられます。
もちろん初心者でも勝てる可能性は結構あるのは否定できません。
その理由はどちらの資産運用ともに、値段が上がるか下がるかの2者択一のものだからです。
しかも二つとも分析する専門家や紹介記事、専用のシステムなどは多く、初心者でも簡単に始める事ができ、結果としてたまたま利益を出す場合があります。
しかしそのたまたまは長くは続きません。
勝った資金を増やし続けていけるのは100人或いは1000人に一人の確率です。
結果としてリスクを考えるのを止め、追加資金を失っていく人は多くなってしまいます。
なのでサラリーマンが資産運用を始めるのであれば、攻めよりも守りを重視した考え方を持ちましょう。
攻めより守り
資産運用をする理由は、今持っている資産を将来減らすリスクを避け続ける努力です。
つまり攻めよりは守りが重要な点です。
確かに市場ではいくら設けた、投資で世界旅行へ行った等の儲けた自慢がいくらでも発信されています。
しかしそのように成功しているのはほんの一握りの人々であり、あなたがその一握りの人間になれる保証はありません。
こちらのグラフは金融庁の指示により「主要行等9行、地域銀行20行」が提出した、顧客の運用実績の結果です。
このグラフでいう一握りの人間は運用益が50%以上出ている人と考えると、その確率はたったの6%です。
続いてこちらは主要なネット証券が提出した顧客の運用結果です。
こちらで50%以上は3.8%となっています。
しかし50%以上を除いた運用実績でプラスになっているのは
29の銀行:49%
主要ネット証券:60%
その確率は各段に高くなり、銀行よりも主要なネット証券の方は60%、約3人に2人は利益を出している事になります。
銀行での資産運用においては賛否ありますが、運用実績だけを見ればネット証券のほうが上回っている事が分かります。
グラフを見て頂ければわかるようにほんの一握りに入る確率はかなり低いことがご理解いただけたかと思います。
あなたの老後や、子供の教育費などかかる費用はある程度は見えているかと思います。
資産運用は守りながら増やすが基本です。
投資を行った結果、あなたの未来を苦しめるものになっては本末転倒です。
この基本をしっかり頭の中に入れて資産運用に取り組んでください。
では実際にどのような資産運用をする事が、好ましいのか続いて具体的にご紹介したいと思います。
長期投資を基本とする
まず資産運用で資産を減らさないことを前提に考えると長期での資産運用となります。
短期間で成果を取ろうとすると大事な資産を減らすことに繋がります。
もし短期的に結果を得たいのであれば、長い経験が必要です。
これから資産運用を始めようと考えているあなたにはそれはありません。
もちろんいくらベテランであっても短期で結果を出すというのは非常に難し事です。
なので個人でこれから資産運用を始めるのなら長い時間を掛けて、じっくりと資産形成していくべきです。
こちらのグラフは「ウェルスナビ」が提供している資料です。
投資期間が1年間、5年間、10年間、15年間、それぞれ行った場合での年率の違いになります。
投資期間が短いほど、プラスとマイナスの幅は大きく、投資期間が長ければ長いほど、その幅は狭まっていきます。
ちなみにこのグラフの場合、15年間投資し続けた場合ではマイナスは無くなりプラスになっていますが、必ずしもプラスになる訳ではありません。
しかしプラス側に振れる確率は短期よりも、長期の方が確実に高くなっているので、このグラフからはこうした事が分かります。
- 投資期間「短い」:ハイリスク・ハイリターン
- 投資期間「長い」:ローリスク・ローリターン
これから資産運用を始めるあなたは、長期で運用するローリスク・ローリターンの運用を始めて下さい。
こちらの記事も参考にしてください。
ではここで3つの掟をまとめておきます。
2、攻めより守り
3、長期投資を基本とする
これら3つを守って、資産運用を始めて下さい。
最後におまけとして、サラリーマンにとっては強い味方となるiDeCoやNISAについても簡単にご紹介しておきます。
iDeCoやNISAで節税
サラリーマンにおいては、個人事業主や法人と違いあまり節税について意識した事が無いかも知れません。
しかしこれからのサラリーマンは節税も意識していく事は重要です。
特に資産運用を始めるにあたり、節税は非常に重要なポイントになります。
例えばiDeCoであれば所得控除を受ける事が出来ます。
所得控除とは、あなたがiDeCoで投資した金額分はあなたの収入としてカウントしないという事です。
カウントされないとどういった節税ができるのかというと、あなたの所得には必ず所得税と住民税がかかっています。
所得税はこちらの早見表をご確認ください。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
住民税は済んでいる地域などによって計算方法なども異なりますが、おおよそ10%程度と考えて頂ければよいかと思います。
これらの税率はあなたの所得額にかかってきます。
しかしiDeCoで投資した金額は、一度あなたの所得して入ってきたお金であっても、所得税と住民税がかかりません。
これを所得控除といいます。
例えば年収が300万円で、毎月1万円をiDeCoで資産運用した場合、年間で約18000円の所得控除を受ける事が出来ます。
年間12万円の投資で18000円のリターンと考えても良いかも知れません。
その場合、年率は15%と非常に高いリターンとなります。
仮に15%ものリターンを得ようとしたら、それこそハイリスクな商品に投資をしなくてはいけませんが、iDeCoはそうではありません。
続いてNISAは、一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAなど種類があります。
それぞれこちらの図のように投資可能額など異なりますが、このNISAの特徴としては、運用期間中に得られた利益が全て非課税になる点です。
通常、資産運用で得られた利益には約20%の税金がかかります。
しかしNISAの場合、この税金がかかりません。
またiDeCoも同じように運用による利益は非課税ですが、NISAとの大きな違いは、投資したお金を引き出すタイミングです。
こちらつみたてNISAとの比較表になります。
つみたてNISAがいつでも引き出せるに、iDeCoの場合は原則60歳まで引き出すことが出来ません。
例えばNISAは子供の教育費を準備するために利用して、iDeCoはあなたの老後の資金の為に利用するなど、目的に合わせて使い分けてもいいかもしれません。
こちらの記事も参考にしてください。
まとめ
資産運用をサラリーマンが始める時の3つの掟と、iDeCoやNISAによる節税についてご紹介しました。
老後の2000万円問題があったおかげで、ようやく資産運用の重要性や必要性が浮き彫りなりました。
しかし重要だからといって、闇雲にリスクのある資産運用を始めては本末転倒となります。
こうしたポイントを押さえながら、あなたの資産を守り増やしていきましょう。
またこうした資産運用について、もう少し勉強したいと考えている方は、無料の資産運用セミナーを上手に活用しましょう。